愛をください 2000年7月5日(水)〜9月20日
脚本 辻仁成
公式 フジTV


キャスト
遠野李理香 菅野美穂
長沢基次郎 江口洋介




李理香と基次郎のストーリー



第1話 本当の気持ち隠してるカメレオン

李理香(菅野美穂)は養護施設で育ち、つらい毎日のなか自殺をしようとしたところを、偶然とおりかかった基次郎(江口洋介)に助けられる。自分の苦しみを訴える李理香に、文通をしよう・・と基次郎は言い出す。死にたくなったら俺に手紙を出せ・・と。


それから3年、基次郎との文通で励まされながら、保育士になった李理香だったが、幸せを求めようとしながら、園児の父親と関係を持ってしまう。
夜、街に出て歌うことで、自分の心を癒す李理香の前に、同じように歌っている中也(伊藤英明)があらわれる。

李理香から基次郎へ 基次郎から李理香へ

生きていると人の幸福が欲しくなるの、園児の父親と関係を持ちました。
その人があまりにも幸福そうだから、私も少しそのぬくもりを分けて欲しくなったの。
その人と抱き合っていると、自分にもいたであろう、親のぬくもりを感じることができる。これがいけないことですか?
孤独で、生きていると他人の幸福が欲しくなる。
だから、必死で他人の幸福にしがみついてしまう・・・基次郎・・助けて。



幸福は人それぞれ違った形をしてるものなんだ。
君には君の幸福があって、他人には他人の幸福がある。
君がその幸福な人と関係を持っても君の幸福にはつながらない。
君はただ、幸せそうな匂いをかいだにすぎない。

幸福はたくさんないんだ。人の幸福を横取りすることは、できない。

幸福とは、君自身の心の形。
第2話 白鳥になりたいペンギン

保育園で一生懸命働くものの親の愛情を知らないということで、周囲から偏見を受ける李理香は、よりいっそう孤独を感じてしまう。そんななか、養護施設で一緒に過ごした民雄がバイクに乗ってやってくる。施設にいた時の虐待を忘れられず社会に復讐することを口にする
.


私、また別の男と関係を持ってしまいました。
父親くらい年の離れた人です。
抱かれている間、私がどれほどの叫び声をあげていたか・・あなたに聞こえますか?
自分の肉体を男の欲望の中に浸すことで、自分が生まれてきたことの恨みを晴らしているようです。
これが本当の私・・。

自分を呪い、自分を傷つけ生きる君を、僕は遠くからしか見守ることが出来ない。君の苦しみが僕の胸を引き裂いている。君の孤独が僕の存在にまで亀裂を走らせる。君の人間不信が底のないほどに深く暗すぎて、僕はどうやって君を救ったらいいのか途方にくれてしまいます。どうかお願いだからここでやけを起さないで理性を持って生きてください。
自分を大事に・・月のように僕はいつでも、君のすぐそばに寄り添っている。

まじめに地道に生きていれば、いつかきっと神様がご褒美をくれるんだと思います。地味だけど穏やかで静かな暖かい一生を送っていきたいと思います。
負けないで。負けないで・・君自身の心に・・。



第3話 片足でふんばるフラミンゴ

李理香は、ガード下でともに歌っうようになった中也に、自分のことや、基次郎と文通をしていることも話す。民雄が保育園に来たことで、園長や園児の母親などに非難され、ますます人を信じる気持ちを失っていく。



苦しかった過去を清算するためには、そこらじゅうに理不尽に咲き誇る、幸福の花を一つ一つ、ひねりつぶしていくしかない・・と気がつきました。

そうすることで、私は過去の苦しみと和解することが出来るのです。

大きな木のたもとに立ち空を見上げてください。
樹木に茂った葉の一枚一枚を想像してみてください。
風に揺れる木々の葉の音を聞いてください。
流れていく空気を胸いっぱいに吸い込んでみてください。
ほら、君は今も生きています。生きていることを忘れないで。

みんな誰もがそれぞれ苦痛をかかえて生きている。それが人生だと思います。
君だけが苦しいんじゃない。もっと、もっと苦しんでいる人もたくさんいることを、どうか忘れないでください。
君の手紙は痛い。君に見せてあげたい。
人間がどれほど小さく、一方世界がどれほど豊かで逞しいかを。
君が世界をかかえようとするのではなく、君は世界に抱かれて生きていることを想像して生きてみてください。

復讐心こそ一番醜い心だよ。


第4話 「おしゃべりな九官鳥」

李理香の歌を聴いていた柿崎(筧利夫)は音楽プロデューサーだった。CDを出さないかと言う。しかし李理香にスターになる気持ちはなく、普通の幸せだけの望んでいると断ってしまう。
養護施設の先生から、父親の居場所がわかった・・と連絡を受け迷う李理香だったが、基次郎からの返事はなかなかこない・・。思い切って父親の住む家まで行き、そっと様子を伺う李理香。



今この時、私を捨てた人たちは、私のことをどう思っているのかな・・もう、すっかり忘れてしまったのかな・・。

人間は嫌い。人間はみんなウソをつくし、人を蹴落とそうとするし、簡単に人を裏切る。
あなたはもう、私を見捨てたの?
やっぱりあなたも私を見捨てる気ですか?
本当のことを言いすぎましたか?本当の私を見せ過ぎたの?
モトから返事をももらわなければ私はもう、誰も信じることが出来なくなる。あなたが返事をくれなければ、私はもう、この世界で誰1人信じることが出来なくなる。お願いです。お返事ください。


第5話 「遠慮しすぎるメガネザル」

自分を捨てた父親が新しい家族のなかで、幸せに暮らす姿を目の前にした時、李理香はよりいっそう孤独を感じてしまい、父親に対する憎しみが沸き起こって来る。基次郎から遅れて返事がきた。父親とは会わないほうがいい・・。あせらずすべてが許せるという時期がくるまで、会わないほうがいい・・と書かれていたが、すでに会ってしまった今、どうにもならない気持ちを抑えきれないでいる李理香。
そんななか、覆面歌手という形でデビューすることを決意する。



これが私の復讐?
これが私の望んでいたことなの?

基次郎・・どうしてお返事をだせないんですか?

みんな身勝手・・もう誰も信じられない。
もう誰も信じたくない。


寂しいよぉ〜・・寂しいよぉ〜・・
だれか・・・だれか・・・さびしいよ・・・。

モト・・・。

復讐心に翻弄されているあなたでは、いい再会は難しいのではないでしょうか。

復讐とは、そういうものだよ。
仕返しをしたつもりでも、それ以上に自分が傷ついてしまう。
苦しいのは結局自分のせい・・・。

ゆるり、ゆるりと生きてください。
たとえ僕の手紙が届かなくなっても、大きな心でのんびり待っていてください。
僕はここから、君を見守っていますよ。

寂しい時は夜空に月をさがしてください。
僕の光があなたの悲しみを癒します。
僕はいつも、あなたに寄り添っています。
だから李理香は決して一人じゃない。満月の夜は精一杯の愛を送ります


第6話 「誰とでもうまくやれるコウモリ」

李理香は蓮井朱夏としてデビューすることになり、CDの制作に忙しい日々を送っていた。自分のポスターが街にでるようになり、その華やかさとは正反対の自分の寂しさにいっそう孤独をつのらせていた。基次郎の詩に曲をつけたため、録音したテープを送り報告するが、手紙の文字が角ばっていて心配だ・・と返事を読みながら、李理香は基次郎に会いたい気持ちがつのってくる。



私のことを心配してくれるのは、世界でただ1人、基次郎・・あなただけ・・。

基次郎・・苦しい・・みにくい心を持っている自分が苦しい・・苦しいよ・・・。

とても、苦しいんです。あなたにあってあなたの顔を見て、きちんと叱られたい。約束を破った私を、あなたならきっと許してくださるはず。モト・・こんなに汚れた私でも会っていただけますか・・。


僕は君のことが心配だ。
青空の写真を見ていますか。
君の孤独が、そのCDによって癒されることを祈ってます。
いつも君の心のそばにいる・・基次郎。

君は自分のからだや心を汚すことで、社会への復讐をしている気持ちになっている。
自分を痛めつけることで、生まれてきたことに抗議している。
李理香・・。からだの汚れは洗い流すことが出来る。
でもね、心の傷は洗い流すことができない。
君は1日も早く自分の存在を認め、自分を好きになって、そして・・・世界を許しなさい。


第7話 「そっくりな猿が僕を指さしている」

保育園を辞めることにした李理香は、思い切って基次郎のもとへ行く。函館に着き基次郎の働くロープウェイに行くが、そんな人間はいない・・と言われて不安になる。手紙の住所をたどって基次郎の家を見つけるが、誰も住んでいる気配がなく、ポストには李理香の出した手紙が一通入ったままだった。
翌朝再び、基次郎の家を訪れポストをのぞくと、手紙はなかった。李理香は襲ってくる不安を胸に、東京へ戻って行った。



基次郎・・あなたさえも信じられなくなった今、私の復讐心は再び燃え盛ろうとしています。
この3年間、あなただけが、私のただ世界で、唯一の灯台でした。なのに今私にはこの暗い海をすすんでいく勇気に力もありません。
灯台の灯が消えた今、私は海底深く沈んでしまいそうです。
もう、2度と海面に這い上がってくることはできないかもしれません。


第8話 「徹夜明けの赤目のウサギ」

父親の蓮井明彦のアンティークショップで、バイトを募集していることを知り、声をかけるとその場で採用されることになった。バイトで店番をしているところへ明彦が戻り、大事そうに鳥かごを抱えているのを見た李理香は、自分を捨てた父親が、嬉しそうに笑っていることに、怒りがこみあげてきた。、娘だということを暴露し、怒りをぶつける李理香に、父は驚き呆然と去っていく李理香の後ろ姿を黙って見つめていた。

蓮井朱夏のCDが店頭に並び、爆発的なヒットをする中、李理香の不倫が週刊誌にのってしまう。そんななか、父が李理香を訪ねてきたが、「すまなかった」と頭をさげる父に「悪いと思っているなら、自殺してよ!!」と言ってしまう。



なんで、あなたは私を救ったの?
なんでよけいな事をしたの・・。

基次郎・・苦しいよ・・基次郎・・。


第9話 「ヘビににらまれたアマガエル」

李理香は再び基次郎に会いに行く決心をする。荷物の準備をしていると、ドアを誰かがノックした。父、蓮井の妻だった。事故にあって危篤状態で李理香の名前を呼んでいる・・と言われ、「自殺してよ!」と言った自分の言葉が頭をかけめぐり急いで病院へ駆けつける。李理香に会い、意識を取り戻し、あなたのおかげと蓮井の妻に言われ、複雑な思いの李理香だった。

そして、函館に向かい、そこで基次郎の母と連絡がとれた。そして、驚くべき真実を聞かされる。



モト・・お願いだから、姿をあらわして・・1目でいいからあなたに会いたい。

あなたの光がないと、私はこの闇の中から一歩も踏み出すことはできない。


第10話 「どこか似てるんだ僕や君のように」

次郎は病院のベットで横たわっていた。すべてを知ってしまった李理香は呆然とする。せっかく会えたのにこんな姿をみせることになって、すまない・・と言う基次郎。
今まで自分を支え励ましてくれた、基次郎が、自分の血を分けた兄と知って驚き、感謝をし、残り少ない時間そばにいたい・・と願う李理香。



いつも、励ましてくれてありがとう。
基次郎に会って人間らしく強く生きることを知った。
復讐心が醜い心だというのも知った。
もう、誰も恨んでないよ。もう、誰も憎んでない・・。

3年分の手紙を・・ありがとう・・。

あなたが私の兄だったことを、今は何よりも喜んでいます。
あなたはきっといつまでも私の中で生き続けます。

この同じ部屋の中で、あなたと一緒に呼吸できている、この瞬間を忘れません。

神様は2人を会わせてくれた・・ずっと会えなかった2人をだ。

始めはお前が死のうとした時、そして今度はまさに俺が死を迎えようとしてる時だ。神様に感謝しなくちゃ。
お前が幸福に生きると約束してくれたら、俺は幸せに死ぬことが出来る。

いいかい・・・。お前はずっと幸福をさがしてきた。
でも、幸福はいつも遠くにあるものだった。
岬の突端の立つ孤独な1本の灯台だった。
灯台の灯りは遠くばかりを照らす。だから足元を照らすことはできないんだ。

でも幸福は足元にあるもの、気がつかないような身近なところにあるものなんだよ。
お前の幸福はお前のすぐそば・・・足元にある。

人を許すことができるとね、お前も許されるんだよ。


第11話 「吠えてばかりいる素直な君を」

せっかく会えた兄のため、何かをしてあげたいけれど、何もできない李理香に、基次郎の母はあなたにできることはまだまだたくさんある。あなたが幸福に生きること、そして生きている基次郎の姿を忘れないでいること・・・と静かに話す。

基次郎が自分が作った詩を、李理香がTVで歌うのを見たい・・とつぶやくのを聞き、TVに出るため東京へ行くことを告げる。出演したら、すぐに戻ってくるから絶対に死なないで・・と懇願する李理香に、基次郎は優しく、大丈夫だよ・・と微笑んだ。

東京へ戻る直前、基次郎の母から、手紙を渡された。基次郎が最後の手紙を出そうか出すまいか迷ったあげく出さなかった手紙。これを読むことができるのはあなただけ・・。


うれしいな。基次郎に会えてうれしい。
私の、世界でたった一人の兄なのに・・。

基次郎は絶対に死なない・・奇跡は起こるんだもの。
おにいちゃん、いつまでも李理香のそばにいて、面倒みてくれなきゃ、叱ってくれなきゃ、意見をいってくれなきゃ・・やだ・・。

人間には長さがあるんだ。
俺は普通よりちょっと短いかもしれないけど、手紙を通して誰よりもどんな兄弟よりも深くお前と付き合うことができた。

寂しくなったらこの3年間の文通を読み返してくれ。
あの便箋の中、あの無限の言葉の中に俺はいるから・・。

李理香・・・お前が奇跡だ。


最終回 「どこか隅の方で僕も生きてるんだ」

初めてのTV出演で、「ZOO」を歌う李理香。基次郎とのいろいろな思いを胸に抱き、TVを見ている兄のため心をこめて歌う。
そんな李理香の姿を見つめる基次郎は微笑み、李理香の歌声を聴きながら、静かに眠るように天国へ旅立っていった。
自分をおいて、亡くなってしまった基次郎を思い号泣する李理香に、ただ黙ってそばにいる中也。

基次郎の葬儀も終わり、「幸福は自分の足元にある・・」という基次郎の言葉をかみしめ、自分にとっての幸福とはなにか・・だれが幸福にしてくれるのかに、気づく李理香。



基次郎・・あなたは今どこにいるの・・天国?それともまだ、そこへ向かう大きな階段の途中?
あなたにちゃんと感謝もできなかった。
基次郎は地獄から私を救ってくれた。だからせめて・・


天国の基次郎を安心してみせるよ・・。


李理香、僕がどんなに忙しくて、君に手紙を書けなくとも、僕はいつも、君の心のそばにいるよ。

李理香、君があまりに苦しくて、何もかもから逃げ出したいとき、君の心の中には、僕という野原があることを忘れないで。

李理香、僕の姿は見えないかもしれないけれど、君の心のすぐそばで、君がやすらぐ風でいよう。

李理香、僕はいつも月の中にいる。

李理香、僕は道端の名もない花。

李理香、君が吸っている空気の中にさえ、僕は充満している。

李理香、街路樹の上から、僕はいつも君が安全なように見張っているよ。

李理香、僕は揺れる大木の木々の葉。

李理香、僕は静かに打ち寄せる波。

李理香、僕は大平原の大きな岩だったり、空を舞う小さな鳥だったりするんだ。

李理香、そして・・・僕は君。

愛しい李理香、そして・・君は僕・・。




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