江口洋介が追い続けた1年 2005.10.22(日)
中越地震の町に咲いた超特大花火 14:00〜15:30
〜花火の数だけ涙があった〜 フジTV
公式




2005年9月9日(日)片貝まつり

片貝まつり・・初めて聞いた名前だった。そこに住む人々が自分たちの手でおこなう花火大会、それが片貝まつりだそうだ。
前年、新潟を襲った大地震。
開催があやぶまれたものの、復興を信じて今年もおこなうことが決定された。

このドキュメンタリは、地震によっていろんな人が大きな被害をうけているので、その復興の様子とか、被災した方々に対するエールみたいなものを、こちらから送って励ますのか・・と思っていたが、ちょっと違っていた。

この町の方々は、私たちに励ましてもらおうなどとは、これっぽっちも思っておらず、それどころか、自分たちの力で、続いていく伝統を消さないように、そして花火をあげるということが、片貝の町で生まれた誇りだと胸をはる。

花火は成人から始まり、最後は還暦で終る。
還暦同級生の花火は、60年間生きてきたことへの感慨と、すでに亡くなっている同級生に思いを寄せるべく打ち上げられた。TV画面をとおしてだが、人生を歩んできた人たちの、そしてこれからの幸福を願い、深い感動をもたらした。

また、震災で家が壊れ、命だけ助かって仮設住宅で暮らす人たち、震災の日生まれた男のあかちゃん。みんな一歩間違えたらこの世から消えていたかもしれない。奇跡という名の生きる強さ。当時の様子を語ってくれる人たちが、みんな前向きで明るく、強い。

そうした人々と触れ合ううちに、江口君は、自分も花火を打ち上げたい、自分で花火を作ったみたい・・・と、せっせと花火工場へ通うこととなる。



この花火の主役は、うちあげる人の「想い」だった。

花火好きの息子さんを病気でなくされ、今も手付かずで残されている息子さんのお部屋。その息子さんがもっとも愛した花火が、この片貝の花火。この両親のお話を聞いているだけで、涙がでてくる。病気がちの息子さんが冗談で「俺が死んだら追悼花火をあげてくれ」と言ったことが本当になってしまった。


「32歳で天国にいった花火バカさん。たくさんの思い出ありがとう。今日の花火は天国の一番いい席でみてください」

このメッセージとともに、大きな花火が夜空を舞う。


去年、祭り好きの妹が病気で参加できない中、治ることを信じていた兄は、自分だけ祭りにいってはしゃいだ。しかし数日後、突然急変して妹は亡くなる。激しく後悔する気持ちと後ろめたさ・・・それから一生懸命働き、自分の給料はすべて花火につぎこんだ。妹のために花火をうちあげることだけに、1年を過ごしてきた。


「おまえが死んでもうすぐ1年。
あっとゆうまの1年。
寂しかった1年。苦しかった1年。
自分の無力さに涙した1年。
なさけない兄でごめんね。こんなことしかできない。
みんな桟敷席で待っているから。」

このメッセージの後、泣きながら花火をみあげる兄に、「兄ちゃん、合格」と、おとうさんが何度も肩をたたいた。


そして、片貝の人々と出会って感じた思いを、江口君も花火に託してメッセージを読み上げる。

「片貝のみなさん、こんばんは。江口洋介で〜す。
新潟に来るたびに、人の絆の深さを感じた1年でした。
人はつながってこそ、強く生きていけるものなんですね。
この1年 出会えたすべてのみなさんに感謝します」




最後は、新しく成人になった若者が、一生懸命頑張って作り上げたエネルギッシュな花火が鳴り響く。


もう何十回見たのだろう。
何回見ても泣いてしまう。
零れ落ちる花火の美しさの中に、こんなに強さや喜び、そして苦しさや悲しみがいっぱいつまっているなんて、初めて知った。
その場所に立った江口君は、どれほどの感動を味わったのだろう。
それが手に取るように、こちらに伝わってくる。
なぜなら、江口君自身が身体中で感動していたからだ。

なぜ、こんなに感動するのだろうか・・。
それはたぶん、すべてがホンモノだからじゃないだろうか。
演出とか、演技とか・・そんなものが存在する必要がない・・。
ただ事実あるのみ、現実がそこにあるのみ。

先に生まれてきている者が、あとから生まれてきた者を亡くしてしまう。
これほどの悲しみがあるだろうか。
それは、他人が入り込む余地などない。
その想いは果てしなく深いのだろう。
残された者にとって、苦しかった1年だろう。
だけど、花火を打ち上げる・・という1点に向かって過ごしてきた1年は、その苦しみを薄めてくれる1年だったかもしれない。

妹を亡くしたおにいちゃんが、花火が打ち上がった後に「終わった・・」って叫んだのがものすごく印象的だった。ものすごく心をうった。


これは、この先何度も何度も見ると思う。
そして、1人でも多くの人に見て欲しいと思う。
見せてあげたいと思う。