原作:松本清張  フジTV 2夜連続SP 2010・11・26(金)
脚本:君塚良一  「球形の荒野」  2010・11・27(土)
演出:永山耕三  21:00〜

野上顕一郎  田村正和 
鈴木次郎 江口洋介
添田彰一 生田斗真
野上久美子  比嘉愛未
筒井源三郎   小日向文世
 芦村亮一  萩原聖人
 芦村節子  木村多江
 村尾芳生  佐野史郎
 野上孝子  風吹ジュン
 滝良精  草刈正雄

球形の荒野・前編 13.0%
 

 昭和生まれにとっちゃ、冒頭のいかにも昭和〜〜って映像はアリだなぁと、つくづく思う。
最近、あの時代の町並みとか、電化製品とかが映るたびに、郷愁感じまくりなのだ。トシのせいかしら・・。

そして、なんなんですか?あの・・・古臭い〜〜〜いナレーションは。おいおい、ちょっとやりすぎなんじゃない?と思いつつ、今風のイケメンが演じているんだから、これくらいやんなきゃ、昭和の香りが平成に負けちゃうよなと、妙に納得。だいたい聞きなれると、あのくらい重苦しいナレーションじゃなきゃ、ピンとこなくなるのが不思議だ。

 思ったほど、主役の田村正和さまは出番が少ない。なのに、ちょろちょろっと顔を出すたびに、「うっわぁ〜〜で、出たぁ〜〜!!」と、ものすごい存在感。こんなのあり?。きっと存在感ありすぎて、なんなので、ちょろちょろしか出さない演出なのかも〜〜なんて、そんなことあるわけないじゃないか~~~(笑)。

 原作読んでいなくて、ドラマを見ているので、前半は地味〜〜な展開だとしか思えず。
しっかし、鈴木次郎って・・・名前もかなり地味だと思いますが・・・。鈴木だけでも地味なのに、なんでそこに次郎をつけんるんだっ!っての。でも、この鈴木次郎さん、なんとなく一目おかれている存在のようで、デキル刑事さんっ・・らしい。その鈴木次郎さんの手下が??生田斗真で、えぇ〜〜と、添田彰一。おいおい、せめて彰一もらって、鈴木彰一で添田次郎にしてほしかった。しつこい??だって添田ってなんとなく添田次郎っぽいんだもん。


  鈴木刑事さん、やり手の設定なので、添田に対してエラソーで気持ちいい。(笑)
やっぱりあの時代は、煙草プカプカしながら仕事しなくっちゃぁ。
いくら平和の時代になったからとて、昭和30年代の警察組織の中で、下っ端の添田が鈴木刑事さしおいて、1人であれこれ動き回るのは、ちょっとやりすぎ〜って気がしなくもないが。

 死んだはずの野上さんが、生きているかも〜的にドラマは進んで、その野上さんが、復讐のために殺人を犯しているのかも〜〜と、思わせたいのだろうけど、ドラマの中の人はともかく、TVを見ているこちらは、「野上さんは完全に生きている」わけだし庭師のフリをして、娘をそっと見せてくれている親切な画家を、どう考えても殺す動機はなさそうだし〜、野上さんは、逃げ隠れしているっぽいわりには、あちこち出現しちゃうし、しかもフランス人女と行動をともにしているって、かえって目立つじゃないか~~~(笑)。


 球形の荒野・後編 10.9%
 

 野上さんがやっていたのは、終戦工作ではないか・・と、芦村節子に言われてた鈴木刑事、ちょっと憤っていた。なんかわかる。だって20年前、戦争に勝つためにと、戦地で闘ってきたわけでしょ。仲間も何人も死んでいったわけで、お国のために!の一言で、ただただ生きてきたわけだから、それはいったいなんだったんだ〜って気持ちになるのもわからなくはない。


 しかし芦村節子のダンナは、へたれだ。
野上さんがダンナを信用して、わざわざ会いにきたのに、あれほど秘密に〜って言ったのに・・・。そりゃぁ、教えるなって言っても、野上と会ったことを奥さんや娘には、言わなくちゃ〜って気持ちはわかる。さすがに黙っているわけにもいかないだろうし。

 けど、刑事が家にいるってだけで、あのキョドりよう。
しかもさ、奥さんや娘に話してもいないのに、刑事にペラペラしゃべっちゃうなんて〜〜。どんだけよ〜〜。野上さん、見る目がなさすぎだわ。

 しかし、小日向さんが野上の元書生・門田源三郎だったなんてね。
それでもって、一番最初の殺人事件の犯人だったとは。
この部分が一番興味深かった。いくら元書生だったとはいえ、野上のために殺人まで犯すなんて・・とても考えられないのだけど、あの戦争時代を生きぬいたものにとって、はかりしれない深い想いがあるのだと、察することはできた。野上さんの、家族にあえなくなって生きた数十年も、門田の旅館をやりながら生きてきた数十年も、重さは変わらない気がした。その門田も殺されちゃうし、結局、戦争は終わったけど、戦後20年足らずでは、人の心の中ではそう簡単に終われない部分もあるのだろう。そんなわけで、殺人事件は、サラっと解決しちゃった。
 

 私は戦争を体験してない世代だからなのか、このドラマが微妙にしっくりこなかった。
鈴木刑事のことを思うと、戦争で自分の人生を捨てて闘ったのに、結局は負けて今は平和な日本になったけれど、命を懸けて闘って手に入れたものが、五輪マークなのか・・敵だった国とスポーツをする。なんか「ふざけんなよ」って気持ち、わかるような気がする。

 歴史を知っているから、空襲にやられ、食べ物もなくなり、広島に原爆を落とされ、長崎にまでも落とされ、どうにもならなくなって「戦争終了」 でしょ。それを終戦工作に命をかけたと言われても、ピンとこない。日本を平和に導いたと言われても、やっぱりピンとこない。結局、意味ないじゃん・・と思ってしまう。

だけど、意味なかったと思ってしまうと、野上さんがあまりにも可哀そうすぎる。
野上さんのために、人を殺してしまい、自分も殺されてしまった門田さんが可哀そうすぎる。野上さんが帰国したことで、いろいろな人が殺されたことが、気の毒すぎる。野上さんが戦死したと信じて、女手ひとつで娘を育てた奥さんが気の毒すぎる。娘が気の毒すぎる。
そう思うから、「終戦工作」なんて意味なかったじゃん・・・と思っちゃいけないんだって、自分に言い聞かせたりする。そんなもろもろが、私には、しっくりこなかった気がする。

 江口君に対しては、前半はともかく後半はあまり目立たなかったけど、このドラマに関しては、目立たなくていいんじゃないかと思う。ちょっと抑えた感じで、警察組織の人間として、戦前、戦中、戦後を生きてきた・・生きている鈴木刑事をよく理解できた。